【鳥目】になる?!

この頃、私は【鳥目】のような症状にも悩まされていました。


ある日の夜中、携帯電話の時計を見ると、朝までにはまだ時間がありました。

私はトイレに行こうと、点滴台を押し、立ち上がりました。

私は病み上がりのような状態と空腹が入り混じり、立つのがやっとと言う感じで歩き出しました。

しかし暗すぎて病室の出入り口が分かりません。


入院した事がある方ならお分かりになるかと思いますがいくら消灯後と言っても、病室ですから作業が出来る程度の明るさは確保されています。

私はこの頃、長い入院生活のせいか、もしくは肝臓ガンのせいなのか、【鳥目】のような状態で、薄暗いところでは、ほとんど何も見えなくなっていました。


こんな状態ではトイレの場所を自分で見つける事は困難だと思い、私はベッドに戻ってナースコールで看護師さんを呼びました。


「トイレに行きたいのですがトイレはどこですか?」

「無理をしない方が良いですよ。尿瓶(シビン)を用意しますから。」

「いやいや大丈夫です。歩いて行けますから。」

看護師さんは親切に出入り口とトイレの場所を教えてくれました。

私はまず、出口に向かい廊下に出ることが出来ました。


まだ廊下は薄暗く、私の目ではあまり良く見えていなかったので私は今出てきたところを良く確認しながら点滴台を押して歩き始めました。


私は限られた『視界』と『自分の記憶』、そして看護師さんの説明だけを頼りに歩いていました。

しばらく歩くと見慣れた風景が、売店です!


夜中の閉まっている売店を見て私はとても嬉しくなってしまいました。

売店はほぼ毎日立ち寄っている場所ですからここまでくればもう『ゴール』はすぐそこです。

何とか無事に『ゴール』に到着。

用を済ませて今度は帰り道。


しばらく歩いて、やはり鳥目の状態で回りが良く分からず、迷ってしまいました。

行きと同じように限られた『視界』と『自分の記憶』、看護師さんの説明を頼りに歩いていたのですが、迷ってしまいました。


ちょっと大げさかも知れませんがまるで遭難してしまったかのように、右も左も前も後ろも分からなくなってしまいました。

しばらく『遭難状態』でいると、看護師さんが私に気付いて話しかけてくれました。


「トイレに行くまでは良かったのですけれど、帰りに救急処置室の入り口が暗くて分からなくなってしまいました。」

「そうですよね、暗いから分かりにくいですよね。」


私は何事も無かったかのように、看護師さんに案内され自分のベッドに戻る事が出来ました。




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