1年8ヶ月ぶりの風呂

退院してから一週間後、主治医に言われた通り私は診察を受けに病院へ行きました。


「笹野さん、お元気そうですね。変わりはありませんか?」


「ありがとうございます。お陰さまで変わりないです。」


主治医はチューブの傷跡を見ました。


「傷跡も大丈夫そうですね。お風呂に入っても大丈夫そうですよ。」

 

『やっと風呂に入れる!夢にまで見た風呂に入れるんだ!』


もう二度と風呂には入れないだろうと思って諦めていた時期もありましたが
この時は本当に嬉しく思いました。


 

「それで笹野さん、今後はどうしますか?」


「もし良ければ3ヶ月に1度のペースで血液検査をお願いします。」


「分かりました。そのようにして様子を見て行きましょう。」


「笹野さん、本当に良かったですね!」

いつもお世話になっていた看護師さんも私を労ってくれました。


 

診察を終え、家に戻ると私は早速妻に風呂の事を伝えました。

「今日から風呂に入っても大丈夫だって!」


「そう!それは良かった!」


「これから早速風呂に入りたい!」


「エッ?!今から?まだ時間も早いし湯冷めでもして風邪を引いたら大変だから
もう少し待ってからにしようよ。」


そう言われ、私はしばらく我慢する事にしましたが、
内心は今すぐにでも入りたい気持ちでいっぱいで、落ち着かない気分でした。


 

そして夕方。

「お父さん、お風呂入れるよ~!」


『ヨシヨシ!』私の気持ちは一気に高ぶりました。


1年8ヶ月ぶりの風呂です。年甲斐も無く嬉しくて嬉しくて仕方がありませんでした。


しかし、若干の不安もありました。

主治医は大丈夫と言ってくれましたが、やはりチューブの跡が気になっていました。


脱衣所で服を脱ぎながらも

『テープだけでも貼っておいた方が良いのかな。』

『お湯が体に入ったりしないかな。』

など、考えれば考える程不安が大きくなってしまいました。


 

しかし、『いろいろ心配してもしょうがない、主治医が「大丈夫」って言ってくれたのだから。』と
結局は気持ちを割り切って、何も(養生)せずに、身体を洗い、浴槽の中へ入りました。


この時の率直な感想として
不安が大きい事もあったのか、何かぎこちなく、
夢にまで見た風呂は、ゆったりとした安堵感・爽快感などは感じませんでした。


それでもしばらく入っているうち、顔から汗が噴き出して来ました。

その後私はゆっくりと身体を洗いました。


背中は妻に洗ってもらいました。

「病気だった頃は骨と皮だけの身体だったけど、もうその面影も無いね。
元気だった頃より太ったんじゃないの?」

などと言われながらも「でも本当に良かったね。」と背中を流しながら嬉しそうに言ってくれました。


 

こうして私は1年8ヶ月ぶりに風呂に入る事が出来ました。

風呂から出てバスタオルで頭や体の水分を拭き取っていた時、
本当に生き返ったと言う気持ちが湧いてきました。

生きている実感が込み上げて来ました。


 

・・・しかし、私の清々しい気持ちとは裏腹に、
妻は私が出た後、風呂の湯を一旦全て抜き、
しかも風呂場の掃除までしてから再度湯を溜め直し、風呂に入っていました。。。



 

私は苦笑いするしかありませんでしたが。。。



 






 

 

 

サブコンテンツ

TV出演させて頂きました

2013年10月26日(土)、【生きるを伝える】(テレビ東京)に出演させて頂きました。

TV出演の様子はこちら

克服後の日常生活を徒然に…

■お待ちしております。

◆メールはこちらです。◆
ご意見・ご感想・ご相談のメールを一日数件も頂けるようになりました。
多くの方に読んで頂けてとても嬉しく思っております。

私の経験がお役に立つのなら分かる範囲でお応え致します。
お待ちしております。

◆メールはこちらです。◆

実兄の闘病記(胃がん末期)

1999年(平成11年)7月に胃がんの末期で亡くなってしまった私の実兄の闘病生活を記憶の限りお伝えします。

実兄の闘病生活(胃がん末期)


デザイナーフーズリスト(ピラミッド)

末期がんからの生還

■闘病記はこちらから!

約1年半にわたる、私の闘病記はこちらからご覧下さい。

闘病記時系列年表


このページの先頭へ