転院当日

***** 1999年(平成11年)4月 *****


翌朝の転院当日、私は一階に降り工場のシャッターを開け、
いつもの場所に座りコーヒーを飲みながら義姉が来るのを待っていました。

途中、おふくろが来て、『今日は・・・(兄)を頼むよ!』と私に行って行きました。

おふくろはおふくろなりに期待と不安があったのだと思います。


それからしばらくして、義姉が到着しました。

義姉は車から降りるなり、『ちょっとお義母さんに話しをして来ます。』と言って、
おふくろの家に入って行きました。

私はこれから先、兄の病状を考えると義姉もおふくろも不安があると思うが、
今はとにかくこれから行く病院に賭けようと思っていました。


『それではお義母さん、行って来ます。』

義姉がおふくろの家から出て来ました。


私と義姉は車に乗り、兄が入院している病院へと向かいました。

『病院が変われば何か良い治療が受けられるかも知れないね。』

『私もそう思いたい。』

車の中ではそんな会話をしていました。

病院へ到着すると早速私達は兄の病室へ向かいました。

病室に入ると、兄はすぐに外出出来るように、
既にパジャマの上にジャンパーを着ていました。


『それじゃ、行こう。兄貴、下(1階)まで歩ける?!』

『大丈夫。歩けるよ。』

そう言う兄でしたが、エレベーターへ向かって歩いている兄は、、
壁などに手をつきながら歩いていて、
明らかに体力が弱って来ているように見えました。

少しでも早く何とかしなくては・・・、という焦りの気持ちが強くなりました。

1階へ着くと、兄夫婦には病院の玄関で待っていてもらい、
私はひとり、車を取りに駐車場へ行き玄関に横付けし、出発しました。


『兄貴、このまま病院へ向かう?!
それともちょっと工場とおふくろの家に寄ってから行く?!』

『このまま病院へ行こう。』


兄を受け入れてくれる病院までは、車で1時間ちょっとの道のりですが、
車の中で兄と何を話したのかほとんど覚えていません。

ただ、私は胃がんの告知をしていない兄を思うと、
これから行く病院に対して期待と不安が入り混じっている気持ちでした。






15:転院先で検査を受ける


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